「残菜0」の 給食指導
- 雁木君江
- 2017年5月6日
- 読了時間: 3分

私の給食指導は「食器内残菜0」です。いわゆる「残菜0」とは大分違います。それでも、90%位は食缶の中も残菜0になります。
給食指導に悩んでいた私を変えたのは、著しく偏食の多い知人でした。小学校での厳しい給食指導の悲しい思い出が染みついているらしく、「大人になってまで我慢したくない!」と、嫌いなものには箸も付けません。「厳しい給食指導は逆効果」というわけです。
それからというもの、苦手なものはびっくりするくらい減らすようにしました。また、食べたことがないものも極少量食べてみて、食べられそうならおかわり何度でもOKです。
おかわりは「ごちそうさま」の時間が近づくほど少しにして、最後は「一口おかわり」にします。本当に一口なので「それなら食べようか。」という子がどんどん来て残菜0になるというわけです。
「ごちそうさま」のとき、食器に何も残っていなければ合格です。残っていれば、「明日はもっと減らそうね。」「おかわりのし過ぎに気をつけてね。」と声をかけ、一口食べたら食缶に返して急いで片付けをするよう促します。
「栄養が偏るじゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、そこが給食指導の押さえどころ。「体が大きくなっている皆さんには、いろいろなものをバランスよく食べることが大切です。減らしたものは栄養が足りません。食べられそうならおかわりをしましょう。」と、毎日のように「食の大切さ」をすり込みます。極少量でも食べたら褒め、嫌いなものをおかわりしたらもっと褒めることで、偏食が無くなっていく子がほとんどです。野菜嫌いだったのに、山盛り食べるようになった子もいます。
「それでも、好きなものばかりおかわりするだろう!」という声も聞こえてきそうですが、人気があるものは「セットでおかわり」にしたり「違うものをおかわり」にしたりすることで、バランスをとっています。例えば「唐揚げは1回1個、サラダとセットでおかわり」とか「パンが好きな人は、パン→パン→パン、じゃなくて、パン→お汁→パン→サラダ→パン・・・と、間に違うものをはさんでね。」といった具合です。
給食も学習指導の一部です。準備や片付けを協力してすることはもちろん、時間内に食べ終える大切さを教えています。偏食の多い子にもみんなと一緒に昼休みを過ごす楽しさを味わわせてあげてください。体に栄養が必要なように、心にも友達と過ごすという栄養が欠かせません。
小食でも偏食でも大丈夫。どの子にも、教師にも、学校生活が楽しいものでありますように。
【参考】味覚や臭覚は、小さい子ほど鋭敏です。舌にある味蕾の数は大人になるほど減っていきます。小さい頃食べられなかったものも、大人になったら食べられるのは鈍感になっているからかもしれませんね。
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