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「言った、言ってない」のケンカ…一人遊びから友達との遊びへ

  • 執筆者の写真: Kimie Gangi
    Kimie Gangi
  • 2018年6月24日
  • 読了時間: 3分

小さい子ども同士で起こるケンカの多くは、「言った」「言ってない」に絡んだものです。

そばにいる大人が(学校の場合ほとんどは教師)事実確認をして、仲直りできるように持っていくのですがこれが一仕事です。

仮に「あっちゃん」と「よっちゃん」が、おもちゃの取り合いをしていたとします。

事情を聞こうとすると、

あっちゃん「よっちゃんが、おもちゃとった!」

よっちゃん「とってない!貸してって言った!」

あっちゃん「言ってない!かってにとってきた!」

という具合です。目に浮かぶ方も多いのではないでしょうか?

過去の経験からいうと、ここで、とったかとってないか?、言ったか言ってないか?を問題にすると、ケンカが一層こじれます。「とった」と大人が言った瞬間にパニックを起こす子もいます。

まず、お互いの主張を尊重して事実を確認します。

大人「まずよっちゃんから聞くね。そのおもちゃはどこからもってきたの?」

よっちゃん「あそこから。」

大人「だれか、つかっていた?」

よっちゃん「あっちゃんがつかってたから、貸してって言ったもん。」

ここで、あっちゃんが割り込んできます。

あっちゃん「言ってない。急にとってきたもん。」

大人「あっちゃんは聞いてないのね。ちょっと待っててね。」

大人「よっちゃん、あっちゃんはその時なんて言ったの?」

よっちゃん「何回も言ったのに無視するから、持ってきただけ!」

この時の「何回も」は経験的に言うと1~2回です。

大人「あっちゃんは、貸してあげないとは言わなかったのね。」

大人「あっちゃん、よっちゃんが貸してと言ったらどうする?」

あっちゃん「ちゃんと言ったら貸してあげる。」

本当は貸したくなくても、いい子に見られたいと思っているのでこういうことが多いです。

大人「でも、あっちゃんはよっちゃんが貸してって言っているのに気づかないくらい、楽しく遊んでいたのでしょう?」

ここで、暗に「夢中だとまわりの声に気付かないことがある」のだということを二人に伝えます。

大人「よっちゃん、あっちゃんは貸してくれるって言っているけれど、あっちゃんもこのおもちゃで遊びたいみたい。どうする?いっしょに遊べるかな?」

よっちゃん「うん、いいよ。」

よっちゃんも、いい子に見られたいので、ひとり占めしたくても大抵こう言います。

これで一件落着にみえますが、ここからが肝腎です。同じことが起こらないよう必ずロールプレイをしましょう。

大人「それじゃあ、はじめからやってみましょう。あっちゃん遊んで、よっちゃん貸してと言って。」

よっちゃん「貸して。」

あっちゃん「いいよ。」

大人「いやいや、さっきと違うよ。よっちゃんの声にあっちゃんは気付かないのよ。」

大人「よっちゃん、やさしくとんとんして、あっちゃんがこっちに向いたら言ってみて。」

よっちゃん「とんとん、あっちゃんそのおもちゃ貸して。」

あっちゃん「いいよ。はい。」

大人「いやいや、それで遊びたいんでしょう。一緒に遊べばいいんじゃないの?さあ、よっちゃんからもう一度。」

よっちゃん「とんとん、あっちゃんそのおもちゃ貸して。」

あっちゃん「いいよ。いっしょに遊ぼう。」

よっちゃん「うん、いっしょに遊ぼう。」

大人「これでいっしょに遊べるね。顔を見てお話すればケンカにならないね。」

仲よく遊べているか、しばらくは見守りましょう。それができれば、一人遊びから卒業して友達との遊びに広がる第一歩です。

ああ、書いているだけで疲れました。実際は似たようなことが1日に何度も起きます。もっと疲れます。でも、子どもたちはみるみる成長していきます。ちゃんと顔を見て話せるようになってくれば、些細なトラブルはぐっと減り、それどころか友達を気遣える子がどんどん増え、大人顔負けの子まで出てきます。

「とったらだめでしょう。」と、頭ごなしに怒鳴りつけ、無理やり「ごめんなさい。」「いいよ。」なら一行で終わりますが、子どもの気持ちをくみ取ってこそ、相手の気持ちもくみ取れる子どもに育つのではないでしょうか。

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